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マーケットリサーチの基本 — 定量調査と定性調査の使い分け

新商品開発・市場参入の前に行うマーケットリサーチの基本を解説。定量調査と定性調査の違い、サンプリング設計、有効回答数の目安、設問設計の注意点までをまとめます。

新商品の発売・新規市場参入・既存製品のリブランドなど、ビジネスの重要な意思決定の前にはマーケットリサーチを行うのが定石です。

しかし「どんな調査をどれくらいの規模でやればいいのか」がいきなり明確になることは少ない。本記事では、マーケットリサーチの基本となる 定量調査定性調査 の使い分けを解説します。

定量調査と定性調査

定量調査(Quantitative Research)

数値・比率・統計を扱う調査。「何人が、何を、どれくらい」を測る。

定性調査(Qualitative Research)

言葉・行動・感情を扱う調査。「なぜそう考えるか・行動するか」を理解する。

どちらを先にやるか

一般的には 定性 → 定量 の順が王道。

  1. 定性調査 で仮説を発見・深掘り
  2. 定量調査 で仮説を検証・市場規模化

逆に「数値で大きな傾向を確認してから、深掘りで意味を理解する」順序もあります(定量 → 定性)。目的に応じて使い分け。

定量調査の設計

サンプル数の目安

「市場全体の傾向を統計的に語る」ためには、母集団サイズと許容誤差から必要サンプル数を算出します。

母集団規模 許容誤差 ±5% 許容誤差 ±3%
1,000人 278 516
10,000人 370 964
100,000人 383 1,056
無限母集団 384 1,067

実務では、400サンプル前後 が「最低限統計的に語れるライン」と覚えておくと便利。

サンプリング設計

無作為抽出が理想だが、現実的には クォータサンプリング(年齢・性別・地域などで母集団比率を再現)が多用される。

日本の人口比率に合わせる例:
- 男女比 49:51
- 年齢層 20代/30代/40代/50代 = 25%ずつ
- 居住地 関東/関西/中部/その他 = 40/20/15/25

設問設計のポイント

1. 仮説を明確にする

「何を確かめたいか」を最初に言語化。仮説が曖昧だと、たくさん設問を入れても結論が出ない。

2. ベンチマーク設問を入れる

業界標準の設問(NPSなど)を最低1問入れる。他社・他調査との比較 ができる。

3. スクリーニング設問を冒頭に

調査対象の条件を満たす回答者だけに進ませる。例:

Q1. 過去6ヶ月以内に、○○製品をご利用になりましたか?
○ はい → 本調査に進む
○ いいえ → 終了

4. 競合比較設問

Q. 同種製品について、当社製品と他社製品をご比較いただけますか?
   各社について、満足度を5段階でお聞かせください。
   - 当社A: ___
   - 競合B: ___
   - 競合C: ___

これだけで自社のポジショニングが見える。

5. NotとShould

「何を求めていない(Should not)」を聞くのも有効。断捨離すべき機能 が見えてくる。

Q. 以下の機能のうち、不要だと感じるものを選んでください(複数可)
   □ 機能A
   □ 機能B
   □ 機能C
   □ どれも必要

定性調査(インタビュー)の設計

サンプル数の目安

5〜15人程度のインタビューで、新しい発見の 飽和 が起こることが多い(同じパターンの回答が繰り返される段階)。

質問設計

Open-ended(開かれた質問)

- 普段、○○についてどのように考えていますか?
- 過去に△△を選んだ理由を教えてください
- もし××だったら、どうすると思いますか?

「はい/いいえ」で答えられない質問にする。

行動観察

「どう考えていますか」より「実際にやってみてください」のほうが正確。仮説検証用のプロトタイプ を見せて、被験者の反応を観察する。

インタビュアー側の注意

ハイブリッド設計

実務でよく使われる組み合わせパターン:

パターン1: スクリーニング型

定量アンケートで対象を絞り込み、上位/下位回答者にインタビュー。

パターン2: 仮説生成→検証型

少人数のインタビューで仮説を作り、定量アンケートで検証。

パターン3: 並行型

定量・定性を同時実施し、相互参照しながら分析。

やってはいけない調査

❌ サンプル数 30 以下で「市場の声」を語る

統計的に意味がない。

❌ 自由記述だけで100件のデータを集める

分析コストが高すぎ、結果として活用されない。

❌ 知人だけにアンケート配信

スノーボールサンプリングは便利だが、属性偏りが大きい。

❌ Webアンケートだけで高齢層の意見を語る

デジタルアクセスがある層に偏っている可能性を考慮。

まとめ

マーケットリサーチの基本フロー:

  1. 目的・仮説を明確化 する
  2. 定性調査 で仮説を発見・深掘り
  3. 定量調査 で仮説を検証・規模化
  4. 複数チャネル でサンプリング偏りを補正
  5. 意思決定者 とフレーム合わせをしてからレポート化

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